卒業生コメント

第一線で活躍する卒業生

作業療法学科 2005年3月卒業 藤平 健太郎さん

技術も知識も未熟ですが、よくなっていただきたいという思いで対象者に接しています。

 私の勤務する病院には、さまざまな障害をもった方がいらっしゃいます。その対象者の方に、窓口となる相談課をはじめ、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・歯科医師・歯科衛生士・栄養士でチームを組んで総合的にアプローチしています。対象者一人ひとりに対して月に一度は全体でカンファレンスを行い、チームの意思疎通を図り、リハビリの方針を決めていることなど、丁寧に対応している点がとてもいいと思ったので就職を希望しました。

 勤務して、最初に私が担当した対象者の一人は、重度の失語症と嚥下障害をもった方でした。最初は何も食べられませんでしたが、6カ月の訓練と指導を通じて、一人で食事ができるまでに回復しました。うれしかったですね。でも、失語症は顕著な改善が見られませんでした。重度の場合は短期間に結果を出すことは難しいからです。わかってはいましたが、残念に思いました。そしてこれが臨床の現場だということを改めて認識しました。

 また、同じ失語症でも障害により症状のあらわれ方が異なります。漢字はわからないがひらがなは理解できる、会話はできないけれどジェスチャーで思いを表現できるなど、そういったところを正しく評価して、訓練・治療プログラムを作成していかなければなりません。同じアプローチが当てはまる対象者ばかりではありません。評価をすることにとらわれていると、対象者の気持ちを汲めていないときもあります。例えば、ある対象者は、言語聴覚室に入ると急に表情が硬くなってしまいました。最初はなぜだかわからなかったのですが、「訓練しないといけない」という思いや、目の前に並んだ検査用の機器、道具が、対象者を身構えさせていたようです。そんなときは、言語室を出て話をします。すると、表情が和らぎ、コミュニケーションしやすくなりました。リハビリは対象者がセラピストを信頼し、心を許してくれてこそ、初めて成り立つ仕事です。対象者の変化に気づき、臨機応変に対応する能力が必要だと感じています。

 言語聴覚士になってまだ1年。技術も知識も未熟ですが、とてもやりがいを感じています。

 今、新たに取り組んでいるのは、言語聴覚士のフィールドを地域の方々に知ってもらう活動です。ことばや聞こえだけでなく、嚥下障害をサポートできることなど、まだまだあまり知られていません。こうした広報活動を行うことで、地域医療に貢献していきたいと思っています。